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SDGsとサスティナブルについて思う事|銀座店

2021-07-09|

私共が取り扱っている注文服はあらためて言わなくとも、元々からSDGsの思想やサスティナブルの理念に近い洋服でないかと前から思っていた。

受注分しか製造されない注文服は当然ながら売れ残り品が生じることはありません。勿論、服地もシーズンごとで完売することはないので、多少は売れ残りますが、次のシーズンでもその服地をお客様にご案内できることを念頭に置いております。というかそういう服地を店主が目利きで買付けているので不良な服地自体が買付けられることがないので処分する必要がないのが実情です。

また議論の余地はありますが、あるスタッフが宣うには「店内に長く居た服地は自然縮絨され、熟成ワインと同じような状態となり、出来立てのほやほやの新作服地よりも生地が安定し仕立て映えが良くなる!俺はそれを狙って自分の服に仕立てる!」と言います(笑)。そんな話も冗談に聞こえない程オーダースーツの世界は奥深いところです。

まじめな話です。京都ビスポークでは一人でも多くのお客様へオーダースーツの価値をお伝えするのが私共の使命の一つだと思いますが、のべつ幕なしに数字を獲っていこうとする意見や企画は社内では全く通りません。他の大きな会社ならばいい企画として取り上げられるかもしれませんね。

お客様のご要望等をしっかり聞き最高のオーダースーツをご提供するために時間を惜しまず、一客一客対応することが最大に重要であり私共の信条、いや強味ともなっています。また、工房の職人達も約一カ月程度のお時間をいただく一方、作業に取り掛かる際は受注の指図書から伺えるお客様のイメージを描きながら一着一着お作りしております。よって、そんな想いを持ったヒトが多く関わり手間をかけられた注文服が簡単に使い捨てにならないようにと、店舗従事者は全力を傾けて受注を賜り、アフターサービスのご案内も必然で重要な事といたしております。

↑ 襟とカフを交換修理され、ほぼ新品状態となったお客様のシャツ

体型変化によるサイズ調整や破損修理のご相談の承り、シャツの仕立て残った生地で傷んだ襟やカフの交換修理ができることも必ずご案内させていただいております。愛着がある注文服をそうやって一年でも長く着用していただく事が私共の注文服の基本になっています。

パキスタンで始まった取り組みで栽培されているサステナブル・コットンの綿花

勿論オーダースーツ専門店として、もっとやるべき課題も山積しているのも事実です。

①環境負荷を低減した服地や副資材を使用したオーダースーツの開発と展開

②仕立て残った残り布の有効活用の可能性を拡大

③テーラーバックやハンガー等の継続使用の推進

④受注商品の輸送及び商品の送品時の包装梱包資材の省力化

⑤服の特性と顧客様の要望を融合させ「装いの総合的魅力」を啓蒙することでの市場や環境の無駄の抑制

↑ 仕立残った服地を活用してハンティングや靴磨きを作ってみた。※個人的な試作品

↑ 現状多くのテーラーが使用している不織布(ポリプロピレン)を主素材にしているテーラーバックの再考

一方、懸念としてこのような啓蒙の下に見え隠れする何か動めくものによって、いつの間にか手段と化してしまい、本来の目的であるはずものが表層的・一過的になってしまわぬことである。後ろ向きには考えたくありませんがSDGsウォッシュにならないよう気を付けなければなりません。何十年も前から「省エネ」「エコロジー」など似たような標語が今まで多く登場してきたかと思うが、実効性を感じることなく現代に至っている気がします。覚えていらっしゃる年齢層も少なくなりましたが、“省エネルック”と称された半袖スーツは今どこにあるのでしょうか?「SDGs」や「サスティナブル」も同じような運命をたどることなく本来の目的を達成する重要な方針としてこの先何十年も根付かせていかねばならないですね。

↑ 使用終了したバンチブックの生地や残布がもったいないからと言って職人が作ってくれたコースター

環境に配慮したお品物を提供することは何も大企業さんばかりの特権ではないはずです。ひときわ目立ち会社の販売促進に繋げることは私共ではできないかもしれませんが、目の前の小さい課題にでも取り組み一つ一つ解決してゆこうと思っています。今後「お客様」「取引先様」などへのご協力や連携の嘆願が必要になってくるかもしれません。その際はよろしくお願いいたします。

 

銀座店 古賀

 

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#サスティナブル #SDGs #SDGsウォッシュ #環境負荷低減素材