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紺ブレ最強! ~子供返り?~|銀座店

2022-05-05|

私にとって夏の装いの中でも使用頻度が圧倒的に高いのは「紺ブレ」です!トラウザースやシャツ・タイとの合わせも簡単に決まるし、作る素材を選べば着用期間や着用場面も広く極論すれば、お悔やみ事以外はすべていけそうな気がする。そんなせいで、いつの間にか私のワードロープのなかでも相当なシェアを占めているアイテムである(笑)

そんな「紺ブレ」でも昨年から作りたくてしょうがなかった服地があった。

それはV.B.C.(カノニコ:伊)の「6ply」シリーズ。「4ply」も通気性・保形性に富む服地だが、それを超越するシリーズとして君臨している服地の目付は夏用としてはウルトラヘビーな510g/m!数値表示としてはかなり重いが強撚糸ウールのメッシュ組織で汗が空気に触れ気化する際に熱を奪う効果もあって真夏でも快適に着れます。気になる重量感はビスポークフィッティングされたものであれば気にならないはずだ。色はグレーとネイビーの2色しかなく「まあそれ以外はいらんでしょ!」と展開企画者がいいたげな部分も剛健である。仕立て上がりは想像どうりでバストボリュームにおいてはサビルローの職人が本台場で仕立てたような雰囲気さえ漂う様である。

「紺ブレ」はトラディショナルなアメ・トラ風に作るのが王道である。しかし今回はイタリア南部のナポリ周辺で好まれる「サルトリアン・ジャッコーネ」をインスピレーションしたモノにしようと思った。上衣の顔とも言えるカラー(上襟)からラペル(下襟)は幅広に設定し輪郭は大きくラウンドするタイプ。ショルダーからスリーブのラインはあえてマニカ・カミーチャにすることなく、採寸時も動きやすい薄肩パットの差し込みの付け袖。前面のディテールはお約束のバルカポケットにするが、ウエストポケットのフラップなしは好みではないので一応インした状態にして装っている。袖釦はメタルなので並び付けにし、釦面が同じ方を向くように本切羽穴に釦首を支えさせることにした。

サイジングに関してはもう細身にはできない体型&年齢なので、ほかの洋服もクラシックフィッティングに徹している。しかしながら太ったバスト実寸に合わせた肩幅にすると163㎝という身長に対してバランスが悪いのでコンパクトな肩幅に設定。また上衣丈はショートレングスは自身のキャラクター的にも合わないのでノーマルにするがダブル合わせの打合いの特性上、前下がりを少なめにし低身長が強調されない工夫をした(笑)

着こなしは一つこだわりがあって6×2の下釦はアンボタンマナーとしてるところ。絶対止めません(笑)。

一応共生地のトラウザースも作りセットアップ(スーツ化)も可能としているが、「紺ブレ」に合わせるトラウザースは「白」が常套手段となっている。還暦も過ぎると子供返りするとは聞いているが最近はアメトラ風に回帰してきている自分がいます。

京都ビスポーク銀座店 古賀