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モヘアへのオマージュ!|銀座店

2021-04-23|

 

好きで始めたオーダースーツ屋という洋服の仕事。最初は知識に乏しく先輩に教えてもらったり、自分で勉強したりして今に至っております。中でも「素材知識」はお客様にお薦めするのに重要です。当時、私は覚えたことを何でも自慢するように仲間内に言っていたものです。番手表示とSuper表示の違い、Z織とS織の特徴等。現実はお客様にとってはどうでもいいようなことですね。今ではそんな知識も半分くらい忘れていますけど(笑)
素材知識を習得していくなかでアンゴラ山羊(上部写真)の体毛を原毛としたモヘアは高温多湿な日本のビジネスウェアーの素材としては高級品であり、その中でもキッド(子山羊)モヘアには「いつかはこの素材のスーツを着るんだ!」と特別な憧れを抱いたものです。実の事を言うとまだその憧れを達成しておりません。見習い時代以降の1980年代からは世間の流行がクラシカルなモノからモダンな方向に行ってしまい、いつの間にか私の中から“モヘアを作る”ことが忘れ去られていました。その頃はダサいおっさんの着る高級オーダー服地と捉えていました。ところが原点回帰というか、ここ2~3年妙にモヘア服地が気になります。ストレッチの効いたお洒落デニムよりは、ゴリゴリした生っぽいデニムの方が本物っぽくて好きですし、シャツも最近は白しか作らないし…。モヘアもそれと一緒で硬派なところが良いです。そんなモヘアをご紹介します。

①ハリソンズ・オブ・エジンバラ (英国)

“ケープ キッド”

キッドモヘア60% ウール40%(100’s) 240g/m

昔、キッドモヘアの混率は半分以上のモノは強度的にあり得ないと教えられました。真実はそんな心配は無用です。無地モノに関しては上等な車のメタリック塗装を連想するような雰囲気で仕上がっています。服地を指先でつまみ捻るとプリプリしてジョリジョリした感じが何とも言えない快感です。

     

 

     

②テーラー&ロッジ (英国)

“アイス モヘア”

キッドモヘア60% ウール40%(120’s) 230g/m

確かにクールマックス(ポリ×ウール)もヒンヤリして涼しい素材なのですが、やはり天然素材の涼しさってちょっと違う感じがするんですよね。エアコンが効いたレストランと夕方時の川床の涼しさとの違いというか、キッドモヘアの涼しさにも風情があります。

     

 

③ウィリアム・ハルステッド (英国)

“ウール モヘア”

ウール70% モヘア30%    330g/m

これこそ真のモヘア服地って感じがします。Z世代の洋服好きの方にはモヘアスーツ服地と言えばウィリアムハルステッドになると思います。生デニムと共通する本当に好きな人しか受け入れられない本物感があります。着心地は着るに従い体に馴染む感を真に感じられる服地だと思います。

     

 

     

④ドーメル (英国)

”トニック” ウール70%  モヘア30%   325g/m

原糸3本をを1本に撚り合せた糸で織り上げられているのでシュワーッとどころか、かなりゴリっとしたハードボイルドな服地です。トラウザースのクリースラインはプレスを当てすぎると生地がライン状に裂けるくらい固いぞ!先輩に脅された(そんなことはありません)ことがあるのを思い出しました。

 “スーパー ブリオ”  モヘア60%  ウール40%   250g/m

昭和30年代生まれの私共の世代にとってはモヘア服地と言えばドーメル。今はどちらかというとアマデウスシリーズが有名ですね。スーパーブリオは現実的な夏物として便利な服地です。

⑤V.B.CANONICO (イタリア)

“スーパーファイン キッドモヘア プルンネル”      “ウール&モヘア”

ウール84% キッドモヘア16%  260g/m   ウール73% モヘア27%    290g/m

     

⑥ホーランド&シェリー (英国)

“イングリッシュ モヘアーズ”

ウール80%(100’s) キッドモヘア20%  230g/m

ウール70% キッドモヘア30% 310g/m

モヘア服地のコレクション数は世界一のマーチャントと言われるほど(58素材)にあります。目付も230g/mと310g/mの2タイプあります。

     

こうやって見るとモヘアは英国製が圧倒的です。しかしながら、VBC(カノニコ)はイタリア製でありながら英国にオマージュした質の良いモヘア服地を作ります。価格とその仕立上りは本家本元の英国製を凌ぐパフォーマンスを持っています。
上記紹介服地以外にもビンテージ風モヘア等店主買付けの服地展開ならでは京都ビスポーク銀座店のモヘア服地コレクションを是非ご覧になってみてください。
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